2008年6月4日水曜日

知的誠実な良書

『まぐれ』ナシーム・ニコラス・タレブ著(2008年)
大学院時代の科学哲学ゼミ合宿は今でも強烈に印象に残っている。「演繹と帰納」、「真である言明とは何か」とか、普段何気なく用いている理論にも突然として破綻する可能性を秘めていることとか、当たり前だけど忘れがちなことだよなぁ。ポパーとか、ラカトシュとか、ファイヤアーベントとかの名前を、本作を読みながら思い出したっけ。
本作はパッケージングによって対象が金融関係者に限定されそうですが、内容は決してそうではなく、「めったに起きないけど影響が大きい現象」に対する考え方や、文学、哲学、生物学、数学、心理学のトピックをタレブ氏の論理で紡いでいく、非常に知的刺激を得られる良書だと思う。昨今稀に見る枚数のポストイットを本書に張りました。

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