2008年1月9日水曜日

『アルバム』の立ち位置(追記あり)

携帯電話市場における音楽配信市場に関して、以前驚いたことがありました。
また、Sound of BlacknessやCISCOの店舗閉店にも、「レコード市場、というか音楽市場って大変なんだなぁ。」とか思ったっけ(渋谷再開発の噂もありますが)。須永辰緒氏もGROOVE(Autumn 2007, 56頁)で、実店舗の減少とネット店舗の増加を指摘してますが、世界的な趨勢のようです。

もう少しマクロに考えて、日本の音楽市場の市況ってどうなってんだろうなぁと思い、日本レコード協会の統計情報を整理してみました。

まずは、近年好調と言われる有料音楽配信売上実績を金額ベースで見てみる。

今は携帯電話で音楽を聴かない私にしてみると、この数字には改めてびっくり。みんな、相当携帯電話で音楽買ってるんだね!2007年分のデータが1~9月だけのデータであることを見ても、成長市場であることが分かります。
てか、インターネットでのダウンロード市場って意外と…(略)。
あと、「その他」って何だろう。イメージが湧かないです。

そして、この数字とCD関連の売上金額推移と合わせてみる。

日本レコード協会にデータが存在する2005年以降、市場規模が回復してるじゃありませんか。因に、iTMSの日本での配信開始は2005年8月。
配信市場とCD関連市場の差異は販売チャネルでしかないとすると、今後間違いなくカニバって行くんでしょう。
マドンナやレディオヘッドがレコード会社不要のビジネスモデルを構築してしまったため、レコード会社としては依然として余談を許さない状況が続くかと。
日本の携帯電話産業は相当参入障壁が高いらしく、世界の音楽配信市況と比較しにくいと考えられますが、「配信」という方法論の有効性が示されたと思われます。

また、2007年の有料音楽配信のデータを見てみると、アルバムの販売数に比べ、曲単位での販売数が圧倒的に多い。およそ20:1。ここから考えられる仮説としては、「アルバムを買う人がますます減って行くのではないか」ということです。これまではシングルかアルバムしか買う選択肢は存在しませんでしたが、大半の音楽配信サイトのように全曲試聴可能であると、気に入った曲だけ買うという選択肢も存在可能になるのです。

となると、「アルバム」というパッケージの意味や重要性も変わってくるのではないでしょうか。
例えば、ライブを観に来たお客さんの知っている曲(好きな曲•嫌いな曲ではなく)がまちまち、なんて状況もあり得るわけで。そうなると盛り上がり方もバラバラで、ライブの一体感みたいなものは希薄になって行くような…。
逆に、ライブが素晴らしかったら、ライブ後に改めてアルバム買うとか、聞き落としていた曲を買うとか、需要を刺激することにもなりますね。そのためには、一聴しても聞き取れるデリバリーとかライブアクトの素晴らしさが、今後肝になってくるかもしれません。

「気に入った曲だけ買った」人たちの購買内容を分析しながら、ライブの演目決めたりする日も近いんでしょうね。(もうやってるか)


2001年11月新宿リキッドルームでのProduct Placementツアー時に、シスコ渋谷店でもらったDJ ShadowとCut Chemistのサイン。
シスコ渋谷店での一番の思い出です。

追記:
よく考えたら携帯電話で音楽聞くというよりも、
着信音ビジネスの成果な気がしてきた…。

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