2007年11月2日金曜日

「守られるべき権利」と「許されるべき利用」

iTunes Music StoreやAmazonでのDRMフリー音源配信に関するニュースを見るにつけ、著作権の概念や音楽ビジネスに非常に大きな影響を与えるんだろうなぁ、とワクワクしております。

で、基礎教養として著作権そのものに関する知識の足りなさを感じていたので、この本をチョイス。

『著作権とは何か 文化と創造のゆくえ』福井健策著 集英社新書(2005年)
前半は著作権を法律的に分かりやすく解説。さまざまな具体例(『ロミオとジュリエット』と『ウェスト・サイド物語』、『ジャングル大帝』と『ライオン・キング』などなど)を交えながらの解説なのでストレスなく読めます。
著作権法の目的は(あくまで日本において)「文化の発展に寄与することが目的である」と明文化されているので、その目的に基づく運用が重要である、と。なるほど。

後半は、パロディと引用、そして芸術の限界と著作権、に関する記述が中心。
デトリタス(detritus:「有機土壌」の意)に関する筆者なりの考察、
「オリジナル、オリジナルと主張するほどの創造性が個人にあるのか」
「我々は先人の作品を土壌にして新しい作品を生みだせるのだし、だからこそ、自らの作品も土壌として人々に返していくべきだ」(共に201ページより抜粋)
といった視点は一理あるなぁ、と。行き過ぎた著作権の主張は、文化の発展を妨げそうだし。
しかし、筆者の言うとおり、著作権の本質的な意義は「創作へのインセンティブ」であるという指摘も納得できるので、創作者の利益は守られる必要があるとも思う。

「著作権というシステムそのものが、全世界規模の壮大な実験である」という筆者のコメントに大きく納得してしまう今日この頃です。

(ヒプホプ好きな諸氏へ、この本では2 Live Crewの「プリティ・ウーマン事件」の話がケースとして出てきます。こんな本で2 Live Crewリーダーのキャンプベルという名前と遭遇するとは思いませんでした)

サンプリングと著作権、とかミックス音源と著作権、とかヒプホプ周りではネックになるトピックだと思うので、引き続き読み漁ろっと…

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